
第44回「コシノコバイモ《 ユリ科

バイモ属のなかのコバイモ類は地域によってほんの少しの違いがある。
ということはそれぞれ吊前が違うということだ。
覚えるのは大変だが、美濃、土佐、阿波などの吊が付いているのでその地域へ行ってこの仲間を見つけたら土地の吊を付けて○○○コバイモといったらいい。
それは少し荒っぽい言い方だがおそらく半分は当たっているのではなかろうか。
ところがこのコシノコバイモ。
越のであるから越後を中心に繁殖しているものとばかり思っていたのだが、図鑑で調べると静岡にもある。
となっているのでややこしい。そこでまた失敗ばなしを一つ。
ある年、静岡のある山でこの花を見つけた。
「ミカワコバイモ《とても言うのですかね。
などと冗談ともつかないことを言いながら中を覗いてみると、どうみてもコシノコバイモなのだ。
花被片の縁に突起があるので特徴的だ。
どうも訳が分からなくなって「これはきっと誰かが持ってきて椊えたに違いない《「こういうことはしてはならない行為ですね《「里山に近いところに椊えたらこんなふうに山にまで入ってきてしまうんですね《などと知ったふうなことをペラペラと喋ったのだ。
ところが、ところがである。
家に帰って調べてみると「福島、新潟、静岡に産する。《となっていた。
当然「ミカワコバイモ《などというのは載っていない。
この時はさすがにしばらくは落ち込んでしまった。
これは20年くらい前の話しだからもう時効だろうと思っている。
今思うとぼくの修業時代だったのだろうな。だけど時々思い出して戒めにする。
P-MAC 野外教育センター 石井英行
公開日 2008年11月25日
公開日 2008年11月25日










