第4回「コタネツケバナ《 アブラナ科


コタネツケバナを見つけ、その説明をしているときに「ナズナに似てますよね《とあるお客さんから言われた。
その時ぼくは「エ?似てますか?《と大きな疑問符を付けて答えた。
ぼくの感覚では全く似ていない。一目瞭然だからだ。

ところが、数日してある図鑑を眺めていたら、ナズナの欄に「タネツケバナと似る《と書いてあった。
慌ててタネツケバナの欄を引いてみると、こちらにも「ナズナに似る《と書いてある。
図鑑を編纂する先生方はそれなりの権威のある方たちだ。
その人たちがとりあえず図鑑を見る素人に向かって「似ている《と書いているのだ。
図鑑はエキスパートの人も見るが、素人の人も見る。
だからぼくはお客さんに向かって「似てますか?《などと大きな声をあげてはならないのだ。
大いに反省したのもである。

タネツケバナ、ミチタネツケバナ、コタネツケバナと本当に似ている三種がある。
ほとんど葉っぱの違いで同定ができる。
コタネツケバナは葉に大きな(といっても葉自信が1cm程しかない)鋸歯がある。
春の早い時期にさっさと咲いて他の花が咲き出す頃はもうタネを付けている。
ヨーロッパから渡ってきた帰化椊物である。





P-MAC 野外教育センター 石井英行

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