第6回「然別湖の事情」

石川昇司氏 (然別湖ネイチャーセンター)

アイスブロックを積み上げてイグルーを作成

思えばある雑誌の「こんな仕事がしてみたい」という記事だった。

キレイな湖をバックに、桟橋の上で七輪で魚を焼き朝食をとる写真と「来るものは拒まず、去るものは追わず」という文章だった。(これに騙されて来てしまった) ここに来て11年がたとうとしているが、改めて考えると10年間の間にここ然別湖でもいろいろな変化があることに気づいた。

いままで冬の修学旅行の体験学習といえば北海道すなわちスキー学習がほとんどだった。

イグルー完成!

「体験学習」から「環境学習」とセールスする側の変化や、実際に利用する学校側での考え方にも変化が出てきたのだろう。今までは修学旅行=大人数というと、どうしても悪い意味で「こなす」になってしまいがちだったが、「実のある体験」が求められるようになった。また行う側としても面白くなって、「やりがい」のもてる仕事になってきたのかもしれない。

ここ然別湖には「イグルー作り」という体験メニューがある。イグルーとはイヌイットの人々の家で、氷や雪のブロックを積み上げた家のことである。今年は10基の様々な型のイグルーが生徒達によって出来上がった。

湖の上には冬だけ現れる村がある。然別湖コタン(アイヌの方々の言葉でコタン=村)

然別湖では10月10日頃に初雪が降り、12月には積もりはじめるが、全ての雪が無くなるのは5月末・・・と半年間は冬である。最低気温は-30℃よりも下がる日も有り、運が良ければ?バナナで釘だって打てる。沸騰したお湯を空中に投げると消えて無くなる (全て気化する) ような所だ。この厳しい中での体験なので生徒達も大変である。ただ、新しい発見もその分たくさんある。

今回は人数や時間の関係で、1班10名~14名位の男女混合で作ってもらった。材料となるアイスブロックは前もって準備しておき、1班に1名ずつの指導者を付けて行った。

全てが真っ白い、雪と氷だけでできた村で露天風呂

始めは「寒い」、「重い」と騒いでいた生徒達も、全ての物が凍りつき、何でも思いのままの型にできる世界にいつの間にか一致団結していった。どんどん出来上がってくるにつれ汗だくになりながら、スタッフはもちろん、先生方も感動していた。

1日がかりの体験は、彼らにはあっと言う間の出来事だったらしく、時間をすぎてもなかなか帰りませんでした。

この何年かで自分の立場も変化し、基本的な「楽しみ」そのものを忘れがちだったと気づかされる。