第12回「娘も親も海に行って『遠くを見たい』気持ち」

丸茂則和氏 (日本児童野外活動研究所)

こたつにあたって一緒にテレビを見ながら、16歳になる娘とこれからのことなどを話していた時のことだ『お父さんは、私の言っていること反対しないね』と娘が言った。もともと将来のことなど親が決めることではなく、自分自身が考えて決めることだと思っており、良い機会なので、できるだけ娘の話を聞くことにした。とりとめもない彼女の話が続いた。

十分に社会経験のない年頃のこともあって、自分のこれからの事など、まだまだ曖昧で『~だったらいいなぁ』とか、『~のような仕事がしたい』などこれからの先の事柄よりも、テレビの影響なのか目先のことに目を奪われているようである。親が『君自身の大切な将来のことなのだぞ!』などと真剣に突き詰めようとする気持ちにはならない。無理もないことかもしれないが、正直なところ娘は、明確な『答え』はもっていないことがわかった。

自分の人生は自分で決めるなどと言ったところで、所詮、自分の過去の経験に照らしても、すべて自分自身が人生を切り開いてきたなどと言えたものではない。様々な出会いと、様々な失敗を繰り返しながら現在の自分があるのだ。

振り返れば恥ずかしいことばかりが思い起こされる。人様に胸を張って言えるものが自分にはあるのだろうかと『自問自答』してしまうこの頃である。そんな父親が娘に『君はこういうことが良い』などと、言えるものではない。

そんな私でも、息子、娘達は私の仕事に対して多少なりとも信頼と誇りを持っているようである。嬉しいことだが、だからといって私の仕事を勧める気は毛頭ない。私の仕事は私自身だからである。したがって何者にも取り替わることができない。たとえそれが息子や娘であっても不可能である。彼等も自分自身の将来は自分自身で形づくって生きてゆかなければならないのである。

私が『急いで答えを出すことが一番大切なことではないよ、時には寄り道や迷うことも貴重なことだよ!』『そんな時は、気持ちを大きくして遠くをながめることも大切だよ』と言うと急に『私、海見に行きたい』と娘は言った。

そのようなことに関しては妙に決断が早い娘である。悩んでいるように見えて、何か軽いように思えてしまうのは親の影響かと責任を感じてしまう。娘に伝わらないかもしれないが、親としては『自信』『誇り』をもって自分の『道程』をしっかり歩んでほしいと願う、妙にものわかりのよい父親なのである。

そんな会話の後、私も娘と一緒に『海』に行きたいと思っている。