第15回「大人への道」

安原 政志氏 (NPO法人 自然教育促進会)

地元小樽で活動を続け、15年が経過してしまいました。事務所は新興住宅地にあり、年々削られる子どもたちの森の遊び場を見てため息が出る毎日です。けれども、皆さんのパワーに負けず「がんばらねば!」と新年度に向け、あれやこれや事務作業にも追われる日々を過ごしております。皆様は如何お過ごしでしょうか?

毎年、この年度の切り替わりの時期「私たちは、子どもたちを自然の中へどれだけ誘えるか?」と考え『子どもは、遊びから』『子どもは、自然から』大人になるための方法を学ぶんだよなーとつぶやきます。

先日、毎月の恒例のキャンプが落ち着いた夜、中学生のジュニアリーダーたちが何やら大泣きしながら1人のスタッフに不満や自分達の存在について訴えていました。身体はどんどん大人へ近づいて行く、心は子どものままでいたい部分と大人扱いされたい部分が交錯して、揺れ動いている一端を垣間見ました。学生の訴えの中には「物事の表面は良く見えているが内面が見えていない。」と思われる表現が多くありました。学校へ行って、塾へ通う毎日。暗記力勝負、暗記力評価の世界から抜け出さない限り、そんなストレスは多くなるばかりでしょう。

昨年、高校の野外の授業で川釣りに隣村へ出かけました。学校では見せない笑顔がそこにありました。道糸の付け方、エサの付け方、釣り方を話し「さぁどうぞ!」という段になってもなかなか動かない高校生。不思議な時間が流れました。担当の先生と話してみると「ロープを結ぶ」「川で遊んだ」などの経験が無い子が多かったのです。何とか釣れ出すと時間も忘れ、熱中していました。

何とその数日後、そこにいたおとなしく静かな、印象の薄い生徒の一人が新聞沙汰になる事件を起こしてしまいました。「何であの子が?」という子だったのです。大変ショックな1日でした。 子どもは、幼児期から小学校低学年にかけてどんな大人になるかという基礎を築き、その後、中学、高校生と多感な時期には子どもから大人へふらふらとしながらも、1つずつ経験しながら学ぶのでしょう。

私たちが行っている活動が更に各地域に根付いたものとなり、1人でも多くの子どもたちが、少しでも多くの時間を、自然の中で遊ぶことができる環境が広がることを願っています。