第17回「ヤンバルの自然の中で行う環境教育」~エコツーリズムは、環境教育から~

中根 忍氏 (サンゴとブロッコリーの森自然学校)

◎沖縄の観光と自然の状況
沖縄県は、「観光」で成り立っている島である。県も「観光立県」を標榜している。しかし、その観光を支えている自然資源の保護、保全、そして活用に際しては、このままで良いのだろうか?という疑問符がついてしまう。

「開発と自然」「基地と自然」なかなか相容れない問題が山積している沖縄ですが、リーディング産業の「観光」が打撃を受けてしまうような環境破壊の状況が続けば、いつしか沖縄の自然は回復不能な状態となり、沖縄の観光産業は、どんどん落込んでしまうのではないだろうか。

観光に訪れる人々の沖縄に対するイメージは、青い海やサンゴ、そしてイリオモテヤマネコやヤンバルクイナなどに代表される貴重生物の宝庫といわれる豊かな自然といわれている。その自然をこれ以上、壊さない努力と回復させる努力が、今、私たちに求められているのではないでしょうか。

◎エコツーリズムと環境教育
現在、私は、「やんばるエコツーリズム研究所」と「サンゴとブロッコリの森自然学校」という二枚の看板で仕事をしていますが、研究所の方は「観光」中心、自然学校の方は「環境教育」を中心に活動しています。しかし、それは別々の仕事ではなく、「エコツーリズムは環境教育の内容を含んで成り立つ観光」であり、私にとっては、車の両輪のようなものです。「エコツーリズムを実現させる為には、市民に対する環境教育がバックボーンになければ成立しない!」これが、私の実感であり、私の活動の目的でもあります。

◎ヤンバルの森・川・海が教育現場
私は、現在沖縄本島、北部にある国頭村安田 (あだ) に居住し、ヤンバル一円で自然体験活動を行っています。プログラムとしては、マングローブの観察会や、伊部岳や与那覇岳トレッキング、そして、比地大滝までのリバートレッキングや無人島安田ヵ島シーカヤッキングと無人島でのシュノーケル、それらの活動を組み合わせた自然体験キャンプなどが活動の中心です。

それらの活動は、どれをとっても、環境教育としてのテーマが含まれており、説明も行うのですが、できるだけ良質の自然の中で体感してもらい、気づいてもらうことが、重要なことと考えています。特に、マングローブの観察では、マングローブが果たしている生態系での役割、「海を守る役目、陸側を守る役目」そして、地球温暖化にブレーキをかけるには欠かせない存在であり、そこから見えてくる私たちの食生活との関わりが、どの程度地球環境に影響を及ぼしているかを理解してもらうのに大切なプログラムです。

また、川の中を歩くプログラムでは、ヤンバルのほとんどの川に設けられた砂防ダムの存在が、川の生物や、海の生物・サンゴにどれだけの影響を与えているかを理解してもらうことを中心テーマにおいています。もちろん、どのプログラムも自然の中で楽しむことが重要で、楽しむ中に、環境教育のファクターを取り入れてプログラムを構成することに腐心しています。

自然が楽しく、かつ、素晴らしい場所であることへの認識が、人々の責任ある行動へつながれば、それは、沖縄の自然の保護、保全、そして復活 (再生) への動きに変わるのではと考えて活動しています。

◎家庭や学校でもっと環境教育を
また、できるだけ学校教育の中で教えて頂くことが重要だと考え、自然体験活動のリーダー養成やPW (プロジェクトワイルド) という、野生生物を生態系の中心においたアメリカで行われている環境教育プログラムの指導者養成なども、教育委員会へ働きかけて、実現できるように力を注いでいます。この方面は、なかなか思うようには進みませんが、あきらめずにアプローチを続けていきたいと考えています。

このように、沖縄観光の核ともなりうるエコツーリズムが根付くには、家庭や学校などで、野外活動や総合学習などを通して環境教育を行い、地域の自然環境から地球環境に至る生態系のつながりなどを、体験活動に交えながら実践していけば、十年後、二十年後の沖縄は、今よりも豊かな未来を感じさせる社会と成り、エコツーリズムが成立する社会となるのではないでしょうか。

◎JONの活動に期待
最後にJONの皆さんがおこなっている、あらゆる活動は、経済万能主義から脱する人間性の回復を促し、日本の社会環境を変えうる人材を育てる可能性を持っていると思います。

JONの皆さん、共に頑張りましょう。(かなりひいきめですが・・・)

共にがんばりましょう カリー!