第75回「皇帝ダリア」

《皇帝ダリア キク科》

木立ダリアとも呼ばれます。もしかするとコダチダリアが標準和名で、皇帝ダリアが別名かも知れません。学名も分かってますが敢えて書きません。植物の基本的なことですが、せっかくですので少し書きます。植物には必ず学名があって、これは世界共通です。ぼくたちは普段この学名を使って花の名前を覚えることはありませんが、ヨーロッパなどへ行くと学名をそのまま使って一般に呼ばれていることも希ではありません。学名と二つをいっぺんに覚える必要が無いというのはいいですね。ただし、皇帝ダリアのように人が持ち込んだと分かっている植物は標準和名と別名の両方のつくことがけっこうあって、どとらがどちらなのか区別がはっきりしませんが、二つを覚えておかないとあとで混乱する原因にもなり、あまり気持ちのいいことではありません。

ですから、在来の花で、普段ぼくたちが呼んでいる名前は標準和名と言います。ところが時々、「この花の学名は何ですか」なんて質問をしてくる人がいて面食らうのですが、どうやらこの標準和名のことらしいのです。正式な名前と言いたいようですが、標準和名と言う言い方を知らずにこんな聞き方になるのですね。

新種が発見されると先ず学名を付けるのですが、これがややこしい。世界的な基準にセントルイス規約というのがあって、ぼくのような素人が気楽に入って行ける世界ではありません。その基準に従って日本人で最初に植物に学名を付けたのが、かの有名な牧野富太郎博士です。

さて、皇帝ダリアですが、このところ急に各地で見られるようになりました。4~5mにもなる立派な木になります。その頂上に30cmほどの大輪の花が咲きます。一言で言ってそれはそれは見事です。だから「皇帝」なのでしょうが、この頃もてはやされるのは単に高さ大きさだけではなく。今の季節に咲くからなのだと思います。山にも里にもあまり花が無くなった季節に、こんな立派に咲き出すのですから当然目立ちます。メキシコ産らしいのですが、ぼくとしてはこの日本の風景に似合うと思えないんです。メキシコをよく知りませんが、あのサボテンが荒れ地にぼこぼこと出ているような風景に似合うように思うのです。でも、これからもっともっと増えて行くと思われます。この日本もやがてあのメキシコのように砂漠化するのでしょうか。

聞くところによると栽培も比較的容易で、花の終わった後の茎をもらってきて、その辺に差しておけばいいとのことです。大きくなるので支えの支柱が必要に成るだけとか。でもかなりの高さなので年寄りは危険だよ。と教えてくれる人がいました。

P-MAC 野外教育センター 石井英行