第73回「イヌホオズキ」

《イヌホオズキ ナス科》

どこにでもある植物ですが、似たような仲間がたくさんあり同定の難しい植物として知られています。ぼくもよく分からなくて、またその特徴が覚えられなくて長年悩んできました。アメリカイヌホウズキ、オオイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキ。などなど図鑑を見ても見当が付きません。たとえば、黒く熟す実が付くのですが、実には光沢があるとか、やや光沢があるとか書いてあるのです。この「やや」というのが分からないのです。ということは実ではない別のところで特徴を見つけなければ同定は出来ないことになります。しかし、大方の図鑑はこれ以上の特徴は書いてありません。花を見つけても実を付けるまで待っていなければならないなんて、こんな不便なことはありません。

そんな折り、イヌホオズキのことを詳しく解説して下さるという勉強会がありました。もちろん押っ取り刀で駆けつけました。一言も聞き逃すまいと真剣に聞きました。季節も丁度よい9月です。イヌホオズキが花を咲かせたり実を付けたりしている季節です。話しをきけた後はすぐにでも実物に当たってみれば少々覚えの悪くなったぼくの頭でもなんとか記憶に残るだろうと期待しました。

ところがです。勉強会の終わった後いくら捜してもイヌホオズキは見つからないのです。家が取り壊されたような空き地や、資材置き場のようなところに幾らでもあるはずですが、見つかりません。仕方がないので近くの河原にも出かけてみましたが、ここにも無いのです。だんだん勉強したことが薄れていってしまいます。何故無いのだろう。絶滅?まさか!。そうです。今年の夏は本当に絶滅していたのです。この猛暑。これで本当にイヌホウズキのような花はみな枯れていました。やっとみつけても同定できるような状態になく、かろうじて枯れかかった葉が付いている程度です。

ああ、今年はダメか、せっかく教えて貰ったのに、と半ば諦めていたのですが、秋になりましたら(10月20日過ぎですが)ぼくのマンションのベランダに咲き出したのです。それがこの写真です。もちろん植えた覚えはありません。どこからか種が入り込んだのでしょう。不思議なことです。花びらの切れ込み方と葉の特徴でイヌホウズキと同定しました。

前回に続いてベランダの植物になりました。

P-MAC 野外教育センター 石井英行