第66回「セツブンソウ」

《セツブンソウ キンポウゲ科》

春一番の花です。畑や空き地の脇にはオオイヌノフグリだとかヒメオドリコソウなどが咲く季節になりました。もちろん梅やロウバイなどはとっくに咲いていますが、いわゆる山野草として親しまれている花では、この花が一番早いのではないでしょうか。福寿草なども春の早い花ですが同じ時期に訪れるとセツブンソウよりはいくらか遅い咲き方です。

名前の由来は節分の頃に咲くからなのですが、関東ではちょっと節分には間に合わないようです。この写真も2月の末ころに撮ったものです。石灰岩質の好きな花らしくこの花の咲く周りの環境はもの凄いことになっている場合が多いのです。すなわち秩父あたりにはかつて群生地がもっともっとたくさんあったとのことです。秩父といえば今は石灰岩の山が半分無くなってしまうほどの環境ですからその生育環境はどんどん狭められています。しかし、昨今のように花を見にゆくだけの観光も繁盛している事から考えると、こういった有名な花や見栄えのする花は大切に守って貰えるのではないでしょうか。カタクリなんかもそうですね。栃木県の三橇山という山の麓に3月末ころに行きますとまるでラッシュアワーの駅頭です。といっても温暖化や病害虫で絶滅、何て事もあるでしょうから、そうは簡単にはいきませんし、油断はなりません。

さてこのセツブンソウ、花びらに見えているところは萼片です。キンポウゲ科はほぼ同じ様です。本当の花びらは退化してしまっていて、写真に見える黄色い部分です。しかも退化だけではなくここから蜜を出しているらしいのです。なんでこんなややこしいことをするんでしょうね。子孫を残すための戦略なんでしょうが本人に聞いてみたいものです。いやいやどこかで研究をされてはいるんでしょうが、ぼくが知らないだけです。

P-MAC 野外教育センター 石井英行