第62回「コシノカンアオイ」

《コシノカンアオイ ウマノスズクサ科》

寒葵の仲間はいったい何種あるのだろう。日本でも30種類以上あるのだそうだ。よく似ているというか余り目立たない花なのでたくさんの種類を見たことがない。そんなにもあるというのに、情けないことにぼくはこの花を5種類ほどしか見分けられないし、名前を知らない。それというのも特徴によって名前が付けられているのではなくそれぞれにその土地の名前が付いているものが多いので覚えるのが難しい。特徴で名前を付けてくれるとそれなりに覚えることが出来るのだが、「越の」「関東」「都」「磐田」「鈴鹿」「雲仙」などと付くのである。これでは覚えようがない。タマガワカンアオイという種類があって関東地方というか東京にもかつてはたくさんあったらしいのだが、いまでは殆ど見ることが出来ない。ぼくはこれを見たいと思っている。だからこれだけは特徴を頭にたたき込んであるのだがまだ見たことがない。

この仲間は、花だけではなく葉もよく似ているので、葉の特徴で覚えることもできない。まったくお手上げの花なのだ。

コシノカンアオイはその中でも特徴のある方だろうし、大きいのでよく目立つ。だからぼくも見つけられるし同定もできる。しかし大きいといっても4cm位だ。それに見たとおり美しい色をしているわけでもない。花を気にしながら歩かない限り目に付くことはないだろう。だから知らない人が案外多い。そこで初心の人がやって来て「花なんか何にも咲いてない」なんて言っているときには、この花を見つけて(寒がついているので晩秋から早春に咲きます)「ほら、こんなに美しい花が咲いています」と言うことにしている。これをすると殆どの人が感激してくれる。

ところでこのカンアオイ、花といっても花びらはない。見えているのはみんな萼である。もう少し詳しく言うと花びらみたいなところを萼裂片、下方の筒を萼筒という。

P-MAC 野外教育センター 石井英行