第55回「ボリジ Borago officinalis」

《ボリジ Borago officinalis むらさき科》

ある日、日頃お世話になっている近所の地主さんから「うちの土地に変な花が咲いているんだが見てくれないか」と連絡が入った。早速行ってみると梅の畑になっているところにこの花が咲いている。さて、ぼくには分からない。どう見ても日本の花ではないので写真を撮ってから「調べてみます」といって帰ってきた。10枚くらい撮った写真をパソコンに入れて拡大して見つめる。似ていると思われる日本の花を思い浮かべながら見る。おもいあたった花を図鑑で調べてみる。なかなか巧くいかない。それでもあれやこれややっているうちにこの花がサソリ形花序を持っている事に気づく(残念ながらお見せしている写真ではそれが分からない。また、サソリ形花序についても手短に説明できないので省略させていただく。)。そこで今度はサソリ形花序をもっている花を調べてみたがどうも似た花に行き当たらない。しかたなく図鑑を閉じようとしたら偶然にムラサキ科の花が出てきた「おッ似ているぞ」しかもムラサキ科はサソリ形花序を持つと書いてある。で、ムラサキ科の学名を調べてからドイツ語のヨーロッパの植物図鑑にあたる。ドイツ語読めませんので綴りで探すだけです。そして見つけたのです。BORAGO----。勿論読めませんから地主さんには「ボラゴなんとかいうヨーロッパ系の花です。誰かが持ってきて植えたんですかねえ」と返事をしておいた。でもぼくとしては納得がいかない。ヨーロッパ系の花が梅畑のなかに忽然と現れたのだ。誰かが植えたのなら根っこごと持ってきたはずだ。ヨーロッパからどうやって持って来るんだろう。という疑問。

ところで、連絡してみて分かったことは彼がぼくの処に知らせてきたのは実はこの花が毒草ではないかを心配したからなのだ。自分の土地に毒草などが生えてたら色々と差し障りがあるらしい。うん、分かるような気がする。地主じゃあないけど。

だとしたらその辺の事も調べてあげなくては行けない。そこで学名を入れてパソコンで検索をしてみた。何か一つぐらいは分かるだろ。すると意に反して出るは出るは何百とヒットするではないか。実は「ボリジ」という名はそこで知った次第。しかもこの花、毒草どころではない古代ギリシャのころから気分を高揚させるハーブとして広く使われてきたのだという。慌てて彼に連絡すると「気持ち悪いからもう抜いちまったよ」という「そういうことならもっと早く教えてくれよな」まったくその通りだ。日頃の恩をこの時とばかり返しておこうとせっかく調べたのに、結果は彼をガッカリさせてしまった。こういうのってなかなかうまくいかないものだ。  和名:ルリヂシャ。あちこちの種屋さんで売ってます。だから誰かが種を蒔いたか買ってきて植えたに違いない。それで納得。ちなみにboragoという喫茶店までありました。

P-MAC 野外教育センター 石井英行