第54回「ナツトウダイ」

《ナツトウダイ トウダイグサ科》

漢字では「夏燈台」と書く。しかしこの花「夏」とついているにもかかわらず春に咲くからややこしい。もっとも植物に余り関心のない人は花が咲いているなどとは思わないだろう。それほどに小さくしかも地味な花である。本来なら花を拡大してお見せしたいのだが、拡大してしまうと野山でますます見つけにくくなると思い、少しばかり遠ざかってシャッターを切った。この程度なら全体を見て貰えるだろう。しかし残念ながら今の時期、花はもう終わっていてどちらにしても野山で見つけにくくなっている。

来年のお楽しみと言うところだが、来春、思い出したら近づいて見てほしい。奇抜な形をしているので十分鑑賞に堪えられる。

その形は杯状花序といってトウダイグサ科特有のものだ。「花軸と数枚の包葉が変形して杯状となり、内側の数個の退化した雄花がつき、杯の底に一個の雌花がある。」と図鑑や解説書に書いてある。おそらくこれだけの説明でこの花の形を思い浮かべられる人は殆どいないだろう。いや写真を見ても分からないかも知れない。だからこそフィールドに出て少しばかり立ち止まり花を観賞することが面白いのでお勧めしたい。殆どの人がこの花を見ると「ヘェー、オモシロイ。ヘン!」とか「カッワイイ!」などとオジサンやオバサンたちでも若者のような言葉遣いになって声を出す。そんな光景を脇で見ているのも楽しい。

実はこのトウダイグサ科。ナツトウダイは終わってしまうが、タカトウダイとかノウルシとかオオニシキソウなどはこれからの初夏や夏の避暑地あたりの野山でもみられるので是非鑑賞して欲しい。そして「花軸の・・・・・・・・」というやつを確認して欲しいものだ。

ところでフィールドで植物を観察するときはルーペを使うことをお勧めしたい。

P-MAC 野外教育センター 石井英行