第52回「ナガバノスミレサイシン」

《ナガバノスミレサイシン スミレ科》

この欄にスミレは何回か登場していますがとにかく沢山あるので今後も別の仲間が登場することと思います(話題が尽きなければおそらく10回以上は出てくるでしょう)。

それぞれ特徴的なので覚えてほしいな、と思うものを今後も掲載しようと考えています。さて、このナガバノスミレサイシン。まずは名前が長いのですぐに覚えられないよ、と言われそうです。確かに長い。ですが名前の通り葉が花と比べて不釣り合いなほど長いのです。スミレサイシンという花があって、こちらの方は花の大きさに釣り合っている葉が付いていますが、そのスミレサイシンに比べると葉が細いぶん安定がない。と言う具合です。ちッと、ややこしい。しかし、スミレサイシンはほぼ日本海側に分布しますが、こちらは太平洋側と巧く住み分けていますので、フィールドで出会った時などはまず間違えることはないのでその点は有り難いスミレです。

ぼくがこのスミレに初めて出会ったのは中学生でした。中学の先輩(当時大学生)に連れられて奥多摩を歩いたときです。その時は先輩もぼくも花の名前なんか知りませんし興味もありません。ところが妙にこの花が気になったのでした。スミレと言う花は知っていましたから、だらりと長い葉に興味を覚えたのだと思います。その頃先輩の家にダックスフンドという犬が飼われていましたが葉っぱが何となくその犬の耳みたいだな。なんて話しをしながら歩いたことを思い出します。今は奥多摩を歩いてもそんなに頻繁には見かけませんがその頃は山道にずっと咲いていたという印象があるのです。遙か昔の記憶ですからかなり寝ぼけた記憶で決して正確では無いと思うのですが、少なくとも中学生の記憶に残る位は咲いていたということが言えます。

ですからナガバノスミレサイシンというスミレであることは大学生になって、多少花に興味を覚えた頃、いの一番に図鑑で確かめたものです。しかし、最初に開いた図鑑には「ナガバ・・・・」は出て居らず、スミレサイシンで覚えました。ですから正確に名前を覚えることが出来たのは大学を卒業した頃ではなかったかな、と記憶します。覚えるまでにこんなに長く掛かったスミレですからそれだけに何か愛おしく今でも山で出会うと何回も何回も写真を撮ってしまいます。

P-MAC 野外教育センター 石井英行