第51回「ヤナギラン」

《ヤナギラン アカバナ科》

世界のどこに行っても出会える花だ。といってもスイスとカナダ位しか知らないんですが。とにかく外国へ行って日本でおなじみの花に出会えることが嬉しい。ヨーロッパなどへ行くとどこにいっても日本人に合う。だから意図的に避けたりしてしまうのだがある年にポルトガルへ行ったら2日間ほど日本人に合わなかった。日本語を喋らないのがなんとなく不安になりつつあったときホテルの窓外から日本人の笑い声が聞こえてくる。窓を開けて写真を撮って貰っちゃたことがあった。語学力の無い奴が外国へ行くと粋がっていたってこんなもんだ。

さて、何で外国旅行の話なんか持ち出したかというと、このヤナギラン、どうも気ままにあちこちに移動するようなのだ。山火事などがあって草原みたいなところが出現するとすぐに入ってきて時に大群生をつくる。山火事だけではなくてスキー場など無惨に切り開かれた山の斜面にも群生が見られる。先日JONフェスタを開催したアサマ2000のスキー場にも夏になるとヤナギランが咲いている。どこかのスキー場で「ヤナギラン群生地あり」などと書きそのためにスキー場のリフトを動かして夏の観光の目玉みたいにしているところをみたことがある。ところがこのヤナギラン数年にして忽然とどこかへ消えてしまう。だから数年でやっと宣伝が行き渡った頃にはもう大群生ではなくなっていたりする。なんだか彷徨する旅行者みたいではないか。夏の終わり頃種になるのだが、それはそれは軽そうな綿毛に包まれていてどこまでも飛んでいけそうである。

ヨーロッパやカナダに同じ種類の花があるなんて不思議だ。カナダには背丈の低いALPINE FIREWEEDとよばれる近種もあるが(ALPINEを意訳してタカネヤナギラン何て呼んでもいいかも知れない)学名を調べてみるとEpilobium angustifoliumで皆同じなのだ。中国やヒマラヤには行ったことがないのだが、「ヤナギランが咲いてましたよ」と報告を受けることが結構ある。中国やヒマラヤの図鑑を持っていないので調べられないのだがもしかして同じ学名を持っているのだろうか。

それにしてもカナダの図鑑に出ているFIREWEEDって表現、直訳すると「たいまつ草」だ。山火事を連想させてくれる。

P-MAC 野外教育センター 石井英行