第46回「ニオイタチツボスミレ」

《ニオイタチツボスミレ スミレ科》

春になると色々な花が咲く。その代表的なのもはこのスミレの仲間だろう。またサクラと同じように日本人の殆どが知っている花の代表ではないかと思う。サクラも品種が多いがおそらくスミレほどではない。150種を越えているからすごい。そしてまたスミレの愛好家も多い。スミレ学会のようなものまであるから恐るべしである。

何時だったか、山行にこのスミレ学会のメンバーと称する人が参加したことがある。さすがに詳しく、遠くにあって同定しにくいものまで双眼鏡を覗きながら「○○○スミレです」とやるので他の参加者もビックリしていた。花に詳しい人が参加すると、つい嬉しくなって植物談義をしてしまい他の人たちを呆れさせてしまうので、こんな時はよほど注意をしなければいけない。ところがその人はスミレ以外の花をまるっきり知らないのだった。こんな人も珍しい。とにかくスミレ以外は花じゃあないようないい方までする。そんな人なので植物談義はせずにすんだのだけれど、元々は花の好きな人だ、こちらが少し解説すると、それを確かめるごとく隅から隅まで花を眺め回す。時間のことや他の人のことはお構いなしなので、これまた他の参加者は呆れていた。いやその人が眺めはじめると迷惑顔をする人まで現れてしまった。いやはやである。

ニオイタチツボスミレ。長い名前だ。タチツボスミレという大きな仲間のなかの匂いのある花とでもしておくのが覚えやすいと思う。けれども注意をして欲しい。ニオイスミレというのもあってこちらもいい匂いだ。外国産で園芸店に時々売られている。また、ニョイスミレというのもあって発音すると音がよく似ているので一緒になってしまう人がいるがこれは表記の間違えではなく、れっきとした別の種だ。

日本中どこの地域にもあるようなのでおそらく多くの人が見ていると思われるが、見分けが付かない場合はとにかく匂いを嗅いでみるのが良い。この花は花びらが白の色が半分くらいのところでわかれているので分かると思う。ニオイスミレはもっと小型で色の別れが無い。

P-MAC 野外教育センター 石井英行