第43回「ハクサンチドリ」

《ハクサンチドリ ラン科》

正真正銘の高山植物である。山で咲いている花ならなんでも高山植物といって憚らない人がいるが、それは間違え、といってどこからが高山植物でどこからが亜高山植物なのか明解な線引きはないらしい。この辺がややこしいのだが植物学者達はそんなことには興味がないのだと思う。

ぼくも実はどうでも良いのだが、有ることを念頭に置いて「貴重な高山植物です」とか「高山にしか咲きません」と言っている。それは何回も書いているのだが盗掘の対象にしたくないからだ。不思議なことに自分の庭に持っていって咲かせたいと思っている人たちも高山植物は持って帰っても育たない。と思っているらしいからだ。だから声高に言うようにしている。時に山の裾ので山野草と称して売っている事もあるのだが、来年には咲かないと分かっていれば、そうそう買い求めないだろうという淡い期待がある。商売にしている人には気の毒だが、ぼくとしては感心な商売だとは思っていないからこんな言い方は絶対に止めないつもりだ。

さて、このハクサンチドリ、ほとんどの図鑑には高山から亜高山帯に咲く。と書いてある。その通りだと思う。比較的多く見られるので山へ登って少しでも花に興味を覚えた人はすぐにでも記憶する花だ。中裂片と呼ばれる花びらが長く横に伸びているのが可愛らしい。近くからルーペなどで覗くと確かに鳥の翼に見えてチドリという名が付いていることを納得する。この写真は少し青っぽいが実際はもう少し濃い紫である。

P-MAC 野外教育センター 石井英行