第34回「帯化タンポポ(カントウタンポポ)」

《帯化タンポポ(カントウタンポポ) キク科》

いわゆるニホンのタンポポです。都会では殆どがセイヨウタンポポかアカミタンポポになってしまって在来のタンポポは見つからなくなりました。最近では外来種のタンポポとニホンのタンポポの雑種が出来てしまって純粋な国産タンポポは壊滅状態だという報道も目にします。確かに山で見かける変なタンポポがたくさんあります。

外来種と国産の見分け方は今では多くの人が知っていて、タンポポについて説明を始めると、いきなり「萼が反り返っているのが外来種ですね」と先を越されてしまったりします。そんなときは「よくご存じですね」と褒めておいてから「総苞の外片のことですね」などと少し難しげな表現をして後を取らなければなりません。ですからタンポポの特徴である「合弁花」とか「舌状花」とかの説明を余儀なくされ理科教室みたいになってしまいます。

さて、写真のタンポポですが帯化状とか帯化現象などと表現します。ふたつの物がくっついているのか、一つの茎から二つの花が出てきてしまったのかどちらとも言えない状態ですが、要するに帯の様になっていると言うことです。実はこの現象、数年前から各地で発見されて植物愛好家の間ではそれほど珍しい現象ではないのです。しかし、報告されているタンポポはぼくの知る限りセイヨウタンポポ状の帯化でして、この様にはっきりカントウタンポポと分かるものはありません。ですから非常に珍しい個体と言っていいと思います。

ある植物の先生が、あくまで推測だがと断ってから「この帯化はカントウタンポポとセイヨウタンポポの雑種ではないか」と外片の反り返っている個体をみて書いておられました。ぼくが見つけた個体はカントウタンポポの性質が強く出た物、以前から見つけられていたの物はセイヨウタンポポの性質が強く出た物ということでしょうか。そんなふうに結論づければ、その先生の推測は実証されたと言うことになるわけです。知識とそれに基づく観察力、思考力に脱帽です。どこの世界にもすごい人がいるな。と思わされる瞬間であります。

今回は少しオタク趣味っぽくなりました。

 

P-MAC 野外教育センター 石井英行