第31回「ダンコウバイ」

《ダンコウバイ クスノキ科》

漢字表記では壇香梅と書きます。梅の仲間ではありませんが「香」という文字がすべてを表しています。よい香りを放ちます。関東近辺で早春の山へ入りますと必ずと言ってようほど咲いていてよく目立ちます。

同じクスノキ科のアブラチャンに似ていますので見分け方を紹介した記事などを雑誌やパンフレットでよく見かけます。そこには枝にある模様(皮目といます)の違いや花の付き方の違い、枝の太さ、葉の形の違い、などが述べられていますが、花に詳しくない人には分かりづらいらしく質問を受けることが多くあります。確かに並べてみなければ違いを強調されても分かりづらいですよね。ましてどちらも葉より先に花が咲くのに葉の違いが書いてあっても何も役に立ちませんから。 実はぼくもそうした図鑑的な知識しか持たず説明するのに困ったことがあります。しかたがないので並んで咲いているところを見つけますがこれがなかなか無いのです。というかやや咲く時期と環境がずれていますので、まれにしか目的を達成できません。ところがある日熱心に観察している参加者の一人に教えられたのです。「この花ちっとも匂いませんよ」と。

実はアブラチャンの花には香りがほとんどありません。ダンコウバイはよい香りです。最初からそんなことは分かっているのに知識ばかりを振り回すとこんな事になります。そうです。匂いをかいで貰えば簡単なことでした。

 

P-MAC 野外教育センター 石井英行