第30回「ウグイスカグラ」

《ウグイスカグラ スイカズラ科》

スイカズラ科であるからウグイスカズラと読んでしまいそうだが、----カグラである。漢字表記は鴬神楽なので、このように書けば間違えることはない。春になると先を争うようにして咲いてくれるので、この花が咲くとホッとする。

冬の間でも植物を訪ねる山行の仕事をしている。もちろん花は咲いていないので葉っぱを見たり、あまり得意でないシダ植物を見たり、幹を見て樹木の名前を当てて貰ったり、はたまた冬芽を見たり、葉痕(散った後枝に残される葉の付いていた痕跡)を見たりと地味でオタッキーな解説を繰り返す、苦労の多い季節だ。

このウグイスカグラ、葉の散った後の枝に台座(棚)のようなものが(四つ)枝を取り巻いて残る。見方によってはとても可愛らしい。何もないと思われる枯野でかなり目立つ存在なので立ち止まって「さて、何の木でしょう」と質問する。皆さんあまりご存じ無い。こうして乏しい知識のなかでなんとか面目を保つことが出来る、冬の間のぼくの仕事を助けてくれる有り難い見方だ。

ホッする。と書いたのはこのジミ~な季節からいよいよ解放されるから。ウグイスカグラが咲き始めれば後は次から次へと花が咲く。春本番。

 

P-MAC 野外教育センター 石井英行