第28回「ウルップソウ」

《ウルップソウ ウルップソウ科》

北アルプスの白馬岳で撮った写真である。元々は名前の由来であるウルップ島にあり北海道の礼文島に咲く。そしてもう一カ所、八ヶ岳の横岳あたりに咲く。この様な離れたところに忽然と咲いているのを隔離分布と言うのだそうだ。

氷河期が終わる頃低地はだんだん暑くなるので上へ上へと咲く場所を変えて行き、その結果北アルプスと八ヶ岳に残ったのだそうだ。だったら中央アルプスや南アルプスにだって残っていても良さそうなものだが、そうはなっていないのが不思議だ。それでもこの様な説明でとりあえずは納得はする。ところがこの隔離分布というもの、それだけではどうしても納得の出来ないことがある。ナガハシスミレ(別名テングスミレ)は新潟県の各地に見ることが出来るが、栃木県の益子付近のある山に隔離分布している。新潟県から栃木県の間に咲いているところはない。地質だとか気象だとかを研究している人ならきっと巧く説明をしてくれるのではないかと思うのだが、どうなんだろう。ぼくの手には負えない。

北海道にはホソバウルップソウという近種の花がある。まだ見たことがない。夏の早い時期に北海道へ行かなくては見られないのだ。チャンスはなかなかない。隔離分布があったらいいのに何て思ったりする。

 

P-MAC 野外教育センター 石井英行