第24回「ブナ」

《ブナ ブナ科ブナ属》

山毛欅。ブナを語るととてつもなく長い文章を書いてしまいたくなります。これはなにもぼくだけではなく、多くの人たちがそんな風に言います。確かにブナの森に入ると色んな事を言いたくなります。それだけ大きいし、神秘的だと思うのです。

山へ入ってブナの事を語りますと「どこのブナ林がよかったですか」と必ず質問が返ってきます。そんなときぼくは「武尊牧場から武尊山へ登る道のブナが好きです」と答えることにしています。森の入り口に四季のブナ林の写真が掛かっています。歩きながらこの写真に写されたブナの木を見つけるのが楽しいからです。しかしこんな安易な答え方は危険なのです。といいますのは、何人かの参加者から「いやわたしは・・・」「白神の・・・」「九州でも・・・」とたくさんのブナ林の名が飛んできます。そんな反応の一つ一つに答えていると大変な時間が掛かります。でも嬉しいですね、こんなにもブナの事を気に掛けてくれている人がいるんですから。

ところが「これが花です」というと「ヘェー初めてみた」という人が多いのです。「ブナって花が咲くんですか」という人までいます。こんなに有名な木であっても知られていないのですね。ぼくらの役割はまだまだ終わらないと感ずるときでもあります。 ところで、この木の幹に聴診器を当てると水を吸い上げている音が聞こえる。なんて言っている人たちがいるんですが、これは困った誤解です。風の音だと思うのですが。あちこちでこれをやっているグループを見かけます。そろそろ訂正をしてほしいと思っています。

 

P-MAC 野外教育センター 石井英行